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2017/9/11

オプジーボ20mg投与の経緯について(1)

 オプジーボを自費診療で20mg〜40mg投与しているクリニックがいくつか有るようで、そうしたクリニックに対して標準治療の一部の先生たちからの以下のようなコメントをネット上で散見します。
(1)「20mgとかで効くわけがない。」
(2)「20mgなら副作用のリスクが低いので、効かないとわかっていながらビジネスの為にやっている。」
(3)「自費で標準量となると料金を支払える患者は稀なため、何とか手が届く料金の20mgにしている。効かなくてもいいから。」
(4)「副作用が起きた場合に対応できないにも関わらず、ビジネスの為にやっているのは患者にとって危険なこと」

(1)に対して、現実に効いている患者さんがいます。それは事実です。
(2)に対して、自経験から20mgでもそれほど副作用のリスクは低くなってはいない。行っているクリニックが、そのことに気づいているか気づいていないかはともかく、リスクは犯しています。
(3)に対しては、「よくそこまで言うわ」しかないです。
(4)に対して、対応できなくはないし、実際に病院に撥ねつけられた患者さんを仕方なく自院で副作用の治療をし治した事例があります。しかし、患者さんの安全のためには病院が意地悪言わず対応してくれてもいいのでは?

 正直、上記の批判コメントが当たらずも遠からずというクリニックがあるかも知れません。
そこで、当院がオプジーボ20mgの投与を始めた経緯について何回かに分けて詳しく説明しておこうと思いました。別に標準治療の先生の理解なぞ求めておりません。癌患者さんに少しでもわかっていただければという期待を込めて。少なくとも上記の批判に当てはまると思われるのは、さすがに心外ですから。


 当院が低用量オプジーボ療法を始めた経緯は、その投与量20mgも含めて全く偶然の産物です。
 最初は大変お世話になっている先生からの或る提案がありました。「免疫細胞療法に少量のオプジーボを併用すると抗癌効果が高いのではないかと思われるので、やってみては?」と。しかし、脚光を浴びている新薬を使ったこれまでに無い治療の先陣を一介の診療所が行うわけには、と及び腰になっていました。ところが、すぐそれに食いついた別の診療所があり、おまけに派手に宣伝して最初からかなりの癌患者さんに上記治療を開始したのです。それはそれで如何なものかとは思いましたが、その診療所の細胞培養スタッフが旧知の関係だったため情報が入り、劇的な成果を出している症例がいくつもあることを知りました。それも大きなトラブルもなく。この診療所の先陣を切った暴走には、今では感謝するしかないです。
 それらの成果を確認し、当院でも平成28年1月より免疫細胞療法+低用量オプジーボの治療を開始しました。オプジーボ量20mgというのも前出の先生の提案です。根拠はありません。免疫細胞を大量に戻すゆえ、オプジーボの投与量をかなり絞らないと免疫の暴走が怖いということからです。10mgで始めてもよかったくらいです。そして、当院でも衝撃的な成果をすぐ経験することになりました。なおかつ、その効果発現が早いのです。

(続く)

2017/8/25

低用量オプジーボ治療の症例報告(7)

患者さんは51歳女性。
卵巣癌で何度も手術(なんと8回!)や抗がん剤治療を繰り返してきていて、転移のため右肺も下半分切除している。
しかし、肺に新たに転移が見つかり、標準治療ではもはや打つ手なしとのことで、平成29年7月に当院受診。
胸部レントゲン写真で、確かに残された右肺や肺門部に腫瘍影を認める。

相談の上、低用量オプジーボ治療をやってみることになり、早速初診時に1回目投与。

ところが、2回目投与予定の直前に患者さんから連絡があり、
癌がよりによって健側(手術していない側)の左肺に行く主気管支を閉塞してしまい、左肺が無気肺(肺に全く空気が入らない状態)になってしまったと。
つまり、肺が4分の1しか機能していない状態になってしまったため、常時酸素を吸っている状況で、来院できないとのこと。
とにかく1回投与しただけで終わっては意味がないのでと、特別に往診して2回目投与。

その後、近くの地元の医院の先生が協力してくれ、その先生により更に2回投与した段階で問題の無気肺が解除された、つまり気管支を塞いでいた腫瘍が小さくなったという報告がありました。

「一時的な現象じゃないか?」とか「まだ顛末はわからないじゃないか」とかイジワル言うことなかれ。
とりあえず効いていなければ無気肺の解除が起きるわけがない。
それどころか、4回の投与で明確な成果が出ている以上、この患者さんの完治も決して夢ではない。

2017/7/8

低用量オプジーボ治療の症例報告(6)

患者さんは49歳の女性。
平成27年10月に子宮頸癌で子宮全摘術を受ける。
平成28年5月に再発し、抗がん剤と放射線治療を受けて腫瘍縮小し、一旦経過観察となる。
しかし、平成28年11月に再々発し、抗がん剤治療3クール受けるが更に悪化。腫瘍は膀胱や大腸にも浸潤。骨盤底全摘術を勧められるが、さすがに患者さんが拒否。

平成29年2月に当院に相談に来院。
当院での腹部超音波検査においても、膀胱内に浸潤した腫瘍塊を確認できる。
ご希望により低用量オプジーボ治療開始。
1回目の投与直後に下腹部痛があったと。(経験上、悪いサインではない)
2回目の投与後から血尿が出るようになった。(これも悪いサインではないと思っておいた)
3回投与後あたりから、超音波検査上、明らかに膀胱内の腫瘍塊が縮小し始めた。
4回投与後から血尿が止まる。
6回投与後、超音波検査上、膀胱内の腫瘍は見当たらなくなった。(大腸への浸潤など他の変化はわからない)

7回の治療が終わった時点で手術等を受けた病院でCT検査が行われ、CT上、腫瘍は全て消失。
担当医は「前に行った抗がん剤が遅れて効いたのだろう」とのコメントだったと!!
えっ? じゃあ、なんで骨盤底全摘なんて過激な手術を勧めたの?というような面倒くさいことは言わず、
患者さんと相談して、いきなりの治療中止はさすがに不安なので、当面2ヶ月に1回低用量オプジーボの投与を続けることにした。

当院として婦人科の癌での初のCR症例で、素直に嬉しい。

2017/5/10

低用量オプジーボ治療の症例報告(5)

患者さんは23歳男性。
右手から発生した滑膜肉腫と言う珍しい肉腫。平成28年に大学病院で手術。しかし、1年後の平成29年1月に肺に多発転移が見つかる。
外科お得意の「全部取りました」という執刀医の言葉を「完治した」と解釈していたため、家族が激怒し大学病院での治療を拒否。
その後いろいろ転々として(アメリカの高名な専門医にも会いに行っている)、わけあって当院にオプジーボ治療の相談のため来院。

なにしろ肉腫。癌よりタチが悪い。
「オプジーボが効くかどうか全くわからない」と正直に申し上げた。実際、肉腫に対する治療経験もないし、家族が必死で責任重大だし。
家族はお金が十分ある人らしいので、NK細胞療法+オプジーボ+ヤーボイの重厚な治療を売りにしている他院に相談に行くよう勧める。(それがいいという意味でなく、当方が全く自信が無いので逃げただけ)
しかし、リスクも出来るだけ避けたいと言うこと聞かず、仕方が無いのでオプジーボ治療を引き受けた。
本人は体重90kg近くの巨漢ゆえ、さすがにオプジーボを当院通常の倍の40mgで開始。

ところが、当方の暗〜いモチベーションに反して、オプジーボ40mg3回投与後に既に胸部レントゲン上で確認できる転移巣は見えなくなった!
次のCT検査が6月のため、CT上では残存しているのかそれともCT上でも消失しているのかは未だ不明だが、少なくとも改善はしている。
肉腫にもトライしてみる価値はあるようだ。


※ ここでお断りしておかなければならないのは、このように肉腫にさえ効いたという良い成果だけではないということです。
これまで、肝細胞癌や乳癌の症例で明らかに歯が立たなかった例もあります。
逆に、肝細胞癌や乳癌で効いている人もいますが、その差が何によるのかはわかりません。
現状、そういう治療だということを改めて強調しておきたいと思います。

2017/2/3

オプジーボの薬価について。

 平成29年2月よりオプジーボの薬価が半額になったことで、当院にもオプジーボ治療の料金の変更(値下げ)はあるか?というお問合せが殺到しています。

 先ず、結論から申し上げますと、料金の変更はありません。
 理由は、我々診療所が購入している海外からの輸入オプジーボの薬価に変更はないからです。一部の病院にだけ卸されている国産の小野薬品製オプジーボの薬価が半額になっただけです。
 そもそも値下げ前の小野薬品のオプジーボの薬価は20mg当たり15万円強。当院のオプジーボ20mg当たりの治療代が15万円(税込み)。小野薬品のオプジーボが仮に使用できたとしても、20mg当たり15万円でやれるわけがありません。値下げ前の小野薬品の薬価が高過ぎたということです。
 因みに、小野薬品のオプジーボが半額になっても病院では標準量(3mg/kg)で投与されますから、例えば体重60kgの患者さんで1回の使用量が180mg。オプジーボだけで1回67.5万円の医療費がかかります。依然として高額な費用がかかる治療です。


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